たれみみの読書日和

読んだ本の紹介や日々をゆるりと綴っています📖*゜

『かわいい夫』山崎ナオコーラ*私も夫のかわいいところを探してみる

おはようございます。

10時就寝、5時起床が定着してきました。

朝の時間が一番頭がすっきりしています。

 

今日はこちらの本を紹介します。

 

 

『かわいい夫』

著者:山崎 ナオコーラ

発行年:2015年12月25日

出版社:株式会社 夏葉社

 

夫との付き合い方

タイトルにもあるとおり、山崎さんは夫さん(旦那や主人という呼び方は避けているとのこと)を「かわいい」と語ります。

「顔がかわいいのではなく、存在がかわいい」と。

夫さんは「町の本屋さん」で働いていて、収入は世間一般と比べると低く、山崎さん自身が一家の大黒柱だそうです。

勝負事は必ず山崎さんが勝つし、口が立つ山崎さんに言い負かされて夫さんが泣いてしまうことも・・・

本書からじわじわと伝わってくる、夫さんの穏やかさと優しさ。

夫さんに高収入も頼りがいも求めていない。

だからいわゆる”夫自慢”の本ではないようです。

 

山崎さんの「愛夫家」についてのお話に共感しました。

妻が夫の愚痴を言っても許される、むしろ不満を周囲に漏らすと場が盛り上がる風潮に疑問を抱かれています。

夫が妻のことを悪く言うと「ひどい」と言われるのに、妻の方だけ許されるのは変じゃないか。

妻も、外で夫の人柄や優しさをもっと褒めてはどうか?と。

 

確かにこれは、結婚してから私もよく感じることです。

友人数名が集まると、近況報告をしているうちに気がつけば夫の愚痴大会のようになっている。

ひとりでカフェでのんびりくつろいでいても、隣の席の女性数名から聞こえてくるのは夫の不満大会。

そういう場がすごく苦手です。

私は夫が大好きなので、不満をそんな堂々と話したくない。

かといって自慢話をしたくもないので、人から夫のことについて聞かれると、ちょっと困るというか、緊張します。

まあ、夫の話に限らず、人は”好”より”嫌”の感情の共有の方が、連帯感は高まるのかもしれませんけどね。会社の愚痴とかも然り。

 

あと「夫はたまたま側にいる人」という考え方も素敵でした。

昔、結婚というのは、自分にぴったりの、世界で唯一の人を探し出してするものだと思っていたそう。

でも今は、夫が世界一自分に合う人はどうでもよくて、ただ、側にいてくれる人を愛し抜きたいだけなのだと。

それは読書にも通じるところがあって、電子書籍やネット書店ではランキングやレビューを参考にピンポイントで購入することが多いのに対して、町の本屋さんではふらりと店に入って、目についた本になんとなく手をのばす。

世の中にはもっといい本があるかもしれないが、たまたま出会った本を自分なりの読み方で深く読み込んでいく方が、ずっと素敵な読書になるのだと。

 

山崎さんのこの考えを読んで「愛着」という言葉が思い浮かびました。

よく夫婦で上手くいかないと「選ぶ相手を間違えたんじゃないか」「もっと自分に合う人が他にいるかもしれない」と悩んだり後悔したりする場合があると思いますが、それは杞憂だということですよね。

そもそも育った環境も価値観も違うのだから、上手くいかなくて当然で。

上手くいかないたびに、互いにどこまで向き合えるか。許し合えるか。

大切にしているうちに愛着が沸いてくる。

そしてもっともっと大切にしたいと思ってくる。

だから別に、相手がどうとか、関係ないのです。

 

仕事への向き合い方

読んでびっくりですが、長年にわたり何十冊も本を書かれた山崎さんでさえ、自分が売れ筋を目指すのは分不相応だと思っていらっしゃるそう。(こんなに売れているのに・・・)

人から認められたり、お金を稼いだりすることに「やりがい」を見出して、それだけに自分の人生の全力を注ぐのは難しい。

だから、「自分の中で何かが進むか進まないか」のみ注視すればよいのではないかと。

自分なりの文学の愛し方を見つけて、前よりも文学が少しわかるようになったり、言語の感覚が澄んできたりしたときに感じる「ちょっとした高揚感」を追い求めたいとのこと。

「学ぶ」「仕事を頑張る」といったことは、自分のためにやらなければならない。「誰々が喜んでくれるから・・・」と他人のせいにするのは駄目だ、とも語られてます。

山崎さんの仕事観は、すごく勉強になりました。

私は人から認められたい(というより、できない人認定されたくない)気持ちが強くて、周りによく見られようとして疲れてしまうことがあります。

お給料もそんなにいい仕事じゃないので、あまり自己肯定感は上がらない。

でも働く中で、できなかったことができるようになったり、わからなかったことがわかるようになったり、話したことなかった人と話せるようになったり、ほんのちょっとした喜びは日々あります。

そういう小さなことを「やりがい」にしていったらいいのかなぁと思わせてもらいました。

 

私の夫のかわいいところ

最近夫をかわいいと思った瞬間は、夫が「縮んじゃった」と言いながら、誤って乾燥機にかけてしまったセーターを着ていたときです。

いや、せっかくのセーターが縮んでしまって本人は困ってるし、可哀そうなのですが・・・

一回り縮んで裾が短くなってしまったセーターを着て、どうしたものかと佇むその姿を愛らしく感じました。

なんだか思い出してもほのぼのします。

そういった「夫のかわいいところ」を見つけていこうとすれば、何気ない毎日がもっと楽しくなるかもしれない。

夫と暮らす日々をもっともっと愛せるかもしれない。

そんな期待を感じることができました。

山崎さん、ありがとう。

 

1章1章が短くて少しずつ読みやすいのでおすすめです(*^^*)