愛知の離島《佐久島・篠島・日間賀島》をのんびり散策♪2泊3日の旅②
おはようございます。
引き続き、愛知の離島《佐久島・篠島・日間賀島》2泊3日旅を記録します。
筒島(弁天島)を朝散歩
2日目の朝食。
ほっこりする和食です。
特に、魚のあらで出汁を取った味噌汁が絶品でした。
そういえば、千早茜さんは『しつこくわるい食べもの』で「味噌汁だけは誰かが作るより、自分の欲望のままに自由に作るほうが絶対にうまい」と言われてましたが・・・
私は、味噌汁は誰かに作ってもらう方が美味しいと思っています。こんなに美味しい味噌汁、自分では作れない。
なんてことを考えながら完食。おなかいっぱい。
少し早めに宿を出て、佐久島から歩いて渡れる小さな島『筒島(弁天島)』へ。
あいにくの曇り空ですが、それでも海が青い。
気持ちのいい朝です。
こちらの弁財天では『願い石』に願掛けができます。
私たちも願いごとを書いて、奉納しました。
そして竹林をお散歩。
静かで、穏やかな波の音だけが聞こえる竹林。
神聖な空気を感じました。
おんべ鯛とふぐの島・篠島へ
少し早めに佐久島を離れ、一色港に戻りました。
お宿でもらった地域限定クーポンを使って、一色さかな広場でお土産を爆買い。
今度は篠島へ向かうため、車で師崎港へと移動します。
フェリーに揺られること約10分ほどで篠島に到着。
雨が降り出してしまったので、綺麗な海の写真は撮れませんでしたが、篠島の港でも海鳥たちが整列してお出迎えしてくれました。かわいい。
お腹がすいたのでまずはお昼ごはんを。
『篠島DIEUX TERRACE(デューテラス)』にて。
漁師とステーキチャンピオンがタッグを組んで始めたお店なんだとか。BBQテラスもありました。
私たちは漁師が作ったカレーとステーキチャンピオンが焼いた照り焼きポークピザを注文。
この日のカレーのトッピングは、フグのフライでした。ラッキー!
どちらも美味しかった~。
さて、お腹は満たされましたが、雨が本格的に降ってきてしまい、早めにお宿に入ることにします。
それを話すとなんと、お店の方がご厚意で車でお宿まで送ってくださりました。
なんてお優しいのでしょう・・・。
『ふんわり島のおもてなし 香翠荘』にチェックイン。
窓辺から見える海や島の人たちの生活の様子を眺めつつ、まったりと読書をしました。
お茶とお菓子をお供に。
なんとも贅沢な時間でした。
お風呂も、海が眺めながら入れて、お湯加減も良くて、大満足。
夕食はフグ!
そしてこの旅の大本命と言っても過言ではない、夕食のフグ料理です。
てっさ、てっちり、てっぴ、からあげ、雑炊などなど・・・
どれも絶品でした。
そしてタコの足の太さにびっくり!
1本丸ごと出てきて、自分でぶつ切りにしていくスタイルでしたが、ザ・筋肉という感じですごい弾力。
噛めば噛むほど味が出てくる。
タコってお寿司やお造りだと脇役と思っていたのですが、こんなに美味しかったのか。
なんて贅沢なんだろう・・・幸せ・・・
心なしかいつもより肌もモチモチしている気がする。
温泉+ストレスフリーのおかげ?
そんなことを想いながら2日目の夜が更けていきました。
3日目に続く。
愛知の離島《佐久島・篠島・日間賀島》をのんびり散策♪2泊3日の旅①
おはようございます。
愛知の三河湾三島と呼ばれる3つの離島《佐久島・篠島・日間賀島》へ夫婦で2泊3日で旅してきました。
なぜ3つの島を巡ることになったかというと、私たち夫婦が”島好き”だからです。
以前に新婚旅行でしまなみ海道を5泊6日かけてサイクリングしてから、島の魅力の虜になっております。
今回も素晴らしい景色と美味しい海の幸を堪能してきたので、忘れないように記憶を記録していきます。
1日目は佐久島へ
佐久島へ渡る前にお昼ごはん。
「せっかく愛知に来たから味噌カツが食べたい!」
西尾市の『福長亭』にて。佐久島に向かう港から車で10分ほど。
ロースカツとヒレカツを2人でシェアして食べました。
衣が分厚くてサックサクでおいしかった。
佐久島へ向かうフェリーは『一色港』から出ています。
一色港には朝市やお土産屋さんがありました。
そこで猫用のお土産を発見。
こういうお土産ってだいたい犬用なんですよね。
猫用は珍しくて、迷わず買っちゃいました。
フェリーに揺られて20分ほどで佐久島に到着。
お宿に荷物を預けて、自転車をレンタルして島を散策♪
島の至るところにアート作品があって楽しめました。
『カモメの駐車場』
すごくシュールだけどかわいい。
実際に港では本の海鳥たちが岩場に整列してお出迎えしてくれていました。
『おひるねハウス』
中から見える海の景色が最高で、お天気も良くぽかぽかしていたので本当に寝てしまいたいくらいでした。
ちなみにここは劇場版《名探偵コナン 天空の難破船》の舞台にもなったそう。
『ヤギのビリー』
ちょっと足短めでキュン♡
もっさもっさと草を食べています。
名前を呼ぶと寄ってきてスリスリしてくれてとても可愛かったです。
猫の島
散策していると、たくさんの猫たちに出会いました。
近づくと寄ってきてくれて、人間に慣れている猫が多い。
猫好きの私たち夫婦にはたまりませんでした。
佐久島は、映画《ねことじいちゃん》の舞台にもなったそうです。
(お宿の方によると、映画に登場していた猫はタレントにゃんこだそうですが・・・)
『佐久島古民家カフェ 蔵ssic』にてシフォンケーキと紅茶を。
お庭を眺めながらのんびりさせてもらいました。
16時頃になるとお店の方がお庭の猫たちを呼び集め・・・
大集合。ごはんタイムなんですね。
これが本当の猫カフェ。
ここに集まってくる猫たちは島の野良猫で、お店の方(ご夫婦?)がこうしてごはんをあげて可愛がっているそう。
新しい猫を見かけると、去勢手術のため島の外の病院へ連れて行っているそうです。
カフェの収入は猫のごはん代に消えていくとおっしゃっていました。
猫愛がすごい(笑)
佐久島の方々は猫好きの人が多いようで、ほっこりしました。
夜は海の幸と満天の星空
夜は旅館『鈴木屋』に宿泊。
美味しい海の幸を堪能しました。これ+鍋もあってすごいボリューム。
食べているとお宿の方が「今日は特別に19時から大島で天体観測の先生が来て星が見れるそうですよ」と教えてくださり、せっかくなので行ってみました。
大島には佐久島から橋が架かっていて、歩いて渡れます。
行ってみると、先生が巨大な望遠鏡でいろんな星を見せてくれました。
街灯や背の高い建物がないので、遮るものがなく、綺麗な満天の星空を楽しめました。
一番衝撃的だったのは月のクレーターまでしっかり見えたこと。
美しい・・・・
2日目に続きます。
『しつこく わるい食べもの』千早茜*自由を味わい尽くしたくなる一冊
おはようございます(^^)/
受賞された皆様、おめでとうございます!
今日ご紹介するのは、受賞者のお一人、千早茜さんの本です。
『しつこく わるい食べもの』
著者:千早 茜
発行年:2021年2月28日
出版社:株式会社 ホーム社
千早さんのエッセイ「わるたべ」第二弾です。
千早節炸裂
本文を引用した帯がもうすでに素敵。
正義のヒーローの食卓より、悪者の食卓のほうが格段に魅惑的だ。ヒーローはプロテインなんかを摂取して健康に気をつかっていそうだが、悪者からは「俺はどこにいようと誰がなんと言おうと俺の好きなものを食うぜ」という気概を感じる。とても自由だ。
欲望を追い求めた先にはきっと、艶やかな地獄がある。その危険さと甘やかさを悪い奴らは味わっている。(「悪党飯」より)
千早さん、「わるたべ」第一弾を出してから「小説のイメージと違った」と言われることが増えたそうです。
それに憤慨されつつも、”「イメージと違う」は彩り”と語られています。
"イメージ通りの人生はどこか見たような景色を見続けるようなもので、きっとつまらない気がする"と。
確かに、切っても切っても金太郎飴みたいな同じ毎日の繰り返しだと、つまらないですよね。
今作も前作同様、声を出して笑ってしまうほどおもしろかったです。
エッセイを二度読み返してしまったのは「わるたべ」シリーズが初めて。
これきっかけに千早さんを好きになってTwitterをちょこちょこ覗いております|´-`)♡
なんでこんなに楽しめたのかと考えたところ、私自身食べることが好きなので読んでわくわくした、というのもあるのですが、おそらく千早さんの「自由さ」に惹かれたのだと思います。
自由に食べる権利
千早さんって自分の欲求や、快、不快、好き、嫌い、不安、恐怖とかいう感覚をとても鋭くキャッチされる方なんだと感じます。
食べることには正直でいたかった。自立した大人として生きているのだから、食べることくらい自由にしたかったし、その意志が肯定される世の中であれ、と思ってはじめた連載だった。(「しつこくつきまとうもの」より)
周りに左右されずに、自分の感覚を大事にして自由に選択したいという意志を強く感じます。
いろんなエピソードが語られていましたが、例えば以下。
・人から「ね、おいしいでしょう」と言われたとたんにおいしくなくなる
・味噌汁だけは誰かが作るより、自分の欲望のままに自由に作るほうが絶対にうまい
・「他人が和えたもの」は一体何が混ぜられているのかわからなくて恐怖
・子どもの頃、アメリカンスクールに進級した後も幼稚園の先生がくれるキャンディが食べたくて、放課後もらいに走っていた
特に子どもの頃のエピソードは、黒柳徹子さんの自伝小説『トットちゃん』を彷彿とさせます。
前作を初めて読みながら「なんかトットちゃんに近いものを感じるなぁ・・・」と思っていたら、実際「海のものと山のもの」のお話で、千早さん自身子どもの頃トットちゃんに共感し救われたと語られていました。
私の中では、トットちゃんが天真爛漫で自由な女の子のイメージだとしたら、千早さんは鋭い牙で好きなもの好きなだけをもっさもっさ食べる「黒トットちゃん」のイメージ。(すいません・・・)
そう思うと北澤平祐さんのかわいい狼のイラストは本当にイメージにぴったり。
自分の感覚をとことん大事にしていて、それを的確に言語化して伝えられる。貫ける。周りに流されない。
そんな千早さんの生き方に、私は憧れるのだと思います。
私はどちらかというと真逆で、子どものころは大人に敷かれたレールの上を歩くことに何の疑問も持たなかったし、安心すら覚えていました。
「自由にやっていいよ」と言われると何をしていいかわからない。
周りにどう見られるのかを気にして行動することが多かったです。
今もその癖は抜けていません。
だから感情の赴くままに食べる千早さんにはすごく惹かれるし、とても楽しく読めたんだと思います。
自分にとってなくてはならないもの
本作が執筆された頃はちょうど新型コロナウイルスが流行り出し、初めて緊急事態宣言が出た時期でした。
あの頃は近所のドラッグストアやスーパーでトイレットペーパーの買い占めが起きましたよね。
不要不急の外出自粛要請が出始め、デパートが休業するのも時間の問題と悟った千早さん。
そんな千早さんが買いに走ったのは、なんと一軍の嗜好品(大好きな紅茶やお菓子)の数々。
生命維持に必要な食糧だけでは私の魂は死ぬ。魂が死んでは執筆はできない。(「告白します」より)
このエピソード、大好きです(笑)
最近の私は、以前よりも健康や節約にアンテナが張っているのですが、どうしても嗜好品って”わるもの”にされがち。
ときどき、甘いものや揚げものや乳製品が大好きな自分に対して「なんでこんな嗜好に育ってしまったの・・・」と悔やむことがあります。
でも千早さんの言葉で安心したというか、自分を肯定してもらっているような気持ちになりました。
これからも自分の好きなもの、自分にとってなくてはならないものたちを、堂々と大事にしていこう。(もちろん身体と財布に支障がない範囲で・・・)
そんな、もっともっと貪欲に、自由を味わい尽くしたくなる一冊。おすすめです(^^♪
『かわいい夫』山崎ナオコーラ*私も夫のかわいいところを探してみる
おはようございます。
10時就寝、5時起床が定着してきました。
朝の時間が一番頭がすっきりしています。
今日はこちらの本を紹介します。
『かわいい夫』
著者:山崎 ナオコーラ
発行年:2015年12月25日
出版社:株式会社 夏葉社
夫との付き合い方
タイトルにもあるとおり、山崎さんは夫さん(旦那や主人という呼び方は避けているとのこと)を「かわいい」と語ります。
「顔がかわいいのではなく、存在がかわいい」と。
夫さんは「町の本屋さん」で働いていて、収入は世間一般と比べると低く、山崎さん自身が一家の大黒柱だそうです。
勝負事は必ず山崎さんが勝つし、口が立つ山崎さんに言い負かされて夫さんが泣いてしまうことも・・・
本書からじわじわと伝わってくる、夫さんの穏やかさと優しさ。
夫さんに高収入も頼りがいも求めていない。
だからいわゆる”夫自慢”の本ではないようです。
山崎さんの「愛夫家」についてのお話に共感しました。
妻が夫の愚痴を言っても許される、むしろ不満を周囲に漏らすと場が盛り上がる風潮に疑問を抱かれています。
夫が妻のことを悪く言うと「ひどい」と言われるのに、妻の方だけ許されるのは変じゃないか。
妻も、外で夫の人柄や優しさをもっと褒めてはどうか?と。
確かにこれは、結婚してから私もよく感じることです。
友人数名が集まると、近況報告をしているうちに気がつけば夫の愚痴大会のようになっている。
ひとりでカフェでのんびりくつろいでいても、隣の席の女性数名から聞こえてくるのは夫の不満大会。
そういう場がすごく苦手です。
私は夫が大好きなので、不満をそんな堂々と話したくない。
かといって自慢話をしたくもないので、人から夫のことについて聞かれると、ちょっと困るというか、緊張します。
まあ、夫の話に限らず、人は”好”より”嫌”の感情の共有の方が、連帯感は高まるのかもしれませんけどね。会社の愚痴とかも然り。
あと「夫はたまたま側にいる人」という考え方も素敵でした。
昔、結婚というのは、自分にぴったりの、世界で唯一の人を探し出してするものだと思っていたそう。
でも今は、夫が世界一自分に合う人はどうでもよくて、ただ、側にいてくれる人を愛し抜きたいだけなのだと。
それは読書にも通じるところがあって、電子書籍やネット書店ではランキングやレビューを参考にピンポイントで購入することが多いのに対して、町の本屋さんではふらりと店に入って、目についた本になんとなく手をのばす。
世の中にはもっといい本があるかもしれないが、たまたま出会った本を自分なりの読み方で深く読み込んでいく方が、ずっと素敵な読書になるのだと。
山崎さんのこの考えを読んで「愛着」という言葉が思い浮かびました。
よく夫婦で上手くいかないと「選ぶ相手を間違えたんじゃないか」「もっと自分に合う人が他にいるかもしれない」と悩んだり後悔したりする場合があると思いますが、それは杞憂だということですよね。
そもそも育った環境も価値観も違うのだから、上手くいかなくて当然で。
上手くいかないたびに、互いにどこまで向き合えるか。許し合えるか。
大切にしているうちに愛着が沸いてくる。
そしてもっともっと大切にしたいと思ってくる。
だから別に、相手がどうとか、関係ないのです。
仕事への向き合い方
読んでびっくりですが、長年にわたり何十冊も本を書かれた山崎さんでさえ、自分が売れ筋を目指すのは分不相応だと思っていらっしゃるそう。(こんなに売れているのに・・・)
人から認められたり、お金を稼いだりすることに「やりがい」を見出して、それだけに自分の人生の全力を注ぐのは難しい。
だから、「自分の中で何かが進むか進まないか」のみ注視すればよいのではないかと。
自分なりの文学の愛し方を見つけて、前よりも文学が少しわかるようになったり、言語の感覚が澄んできたりしたときに感じる「ちょっとした高揚感」を追い求めたいとのこと。
「学ぶ」「仕事を頑張る」といったことは、自分のためにやらなければならない。「誰々が喜んでくれるから・・・」と他人のせいにするのは駄目だ、とも語られてます。
山崎さんの仕事観は、すごく勉強になりました。
私は人から認められたい(というより、できない人認定されたくない)気持ちが強くて、周りによく見られようとして疲れてしまうことがあります。
お給料もそんなにいい仕事じゃないので、あまり自己肯定感は上がらない。
でも働く中で、できなかったことができるようになったり、わからなかったことがわかるようになったり、話したことなかった人と話せるようになったり、ほんのちょっとした喜びは日々あります。
そういう小さなことを「やりがい」にしていったらいいのかなぁと思わせてもらいました。
私の夫のかわいいところ
最近夫をかわいいと思った瞬間は、夫が「縮んじゃった」と言いながら、誤って乾燥機にかけてしまったセーターを着ていたときです。
いや、せっかくのセーターが縮んでしまって本人は困ってるし、可哀そうなのですが・・・
一回り縮んで裾が短くなってしまったセーターを着て、どうしたものかと佇むその姿を愛らしく感じました。
なんだか思い出してもほのぼのします。
そういった「夫のかわいいところ」を見つけていこうとすれば、何気ない毎日がもっと楽しくなるかもしれない。
夫と暮らす日々をもっともっと愛せるかもしれない。
そんな期待を感じることができました。
山崎さん、ありがとう。
1章1章が短くて少しずつ読みやすいのでおすすめです(*^^*)
『水を縫う』寺地はるな*”普通の生き方”に生きづらさを感じている人に読んでほしい家族小説
おはようございます。
今日は朝からザーザーと雨が降っています。
買い物に行かないといけないのだけど・・・
雨が弱まるのを待っています。
そんな今日ご紹介するのはこちらの本。
『水を縫う』
著者:寺地 はるな
発行年:2020年5月30日
出版社:株式会社集英社
あらすじ
”男なのに”刺繡が好きな高校1年生・清澄は、なんとなくクラスから浮いている。
結婚を間近に控えた姉・水青は、”女なのに”かわいいものが苦手。
母・さつ子は、仕事に奔走しながら、離婚した夫のようになってほしくないと願い、いつも子供たちの失敗を先回りして回避しようとする。
そんなさつ子に「子どもが失敗する権利」を諭す祖母・文枝も、”いいお嫁さん”になるよう育てられ、窮屈な思いをしてきた。
さつ子の元夫・全やその友人の黒田もまた、”普通”を押し付けられることに生きづらさを感じていた。
清澄は姉のためにウエディングドレスを手作りすることを宣言するが、果たして水青の要望通りのドレスは無事に完成するのか。
世の中の”普通”を踏み越えていく、6人の家族の物語。
”普通”から自由に
「ジェンダーレスな社会な社会を目指して」等とよく耳にするようになった近年、「男らしい」「女らしい」という言葉って以前より聞かなくなったなと思います。
一昔前は好きな異性のタイプに「男らしい人」「女らしい人」と言ってる人よくいましたよね。今もいるのかな・・・。
男はズボンで女はスカートとか、男の子は戦隊ものが好きで女の子は人形で遊ぶとか。
私の時代はまだ、ランドセルは男の子が黒、女の子が赤でした。
今はランドセルもかなりカラフルで、好きな色を自由に選べますよね。
女性もパンツスタイルを楽しむし、男性もお化粧や脱毛をする時代。
働き方もかなり自由になってきているし、結婚をしたり子どもを産んだりすることは個人の自由なのだという風潮も、数年前より確実に広がってきていると感じます。
どんどんと、生きやすい時代になってきている。
今そういう風になってきているのって、”普通”とか”当たり前”を窮屈に感じた人たちが、きちんと声を上げてきてくれたから。感謝です。
でもやっぱりまだ発展途上なので、一昔前の”普通”に縛られている人もたくさんいる。
「子どもを自分の思い通りにしたいとか、そんなことは考えてへん。いくらなんでも」
なにも、東大に入れ、とか、オリンピックに出ろ、とか言っているわけではない。ほどよい進学と就職と結婚をしてほしい、ひとりで生きていかずに済むように、家族をつくってほしい、と思っているだけだ。
当然のようにそう言えてしまうさつ子。
それによって子どもをがんじがらめにしてしまう。
「みんなと同じように平凡な生活をして幸せになってほしい」と願う親心。
でもその「平凡」というのは幻想なんですよね。
「できれば失敗してほしくない」「傷ついてほしくない」
そんなさつ子の気持ちに共感する方はたくさんいるだろうなぁ。
やりたいことは何でも、何歳からでも
文枝のように、育った環境で当たり前のように教えられたことや言われて傷ついた言葉が、自分自身を長年苦しめている場合も多いと思います。
そういう記憶って、なかなか上書きするのは難しい。
何か新しいことをしようとするとき、知らないうちにそれが足枷になっている。
私の中にも知らない間に自分を抑圧している部分ってあるのかも。
よくよく見つめ直さないと気づかないくらいに追いやられている想いや願い。
いつの間にかあきらめてしまったことたち。
でも文枝のように何十年もかけて、ふとしたきっかけで、吹っ切れるときもやってくるのかもしれない。
新しいことにチャレンジする74歳の文枝。
その手の甲には、年輪のように刻まれたいくつもの皺。
とても美しい描写だなと思いました。
私も、自分で自分をあきらめたくない。
やりたいと思ったことは、何でも、何歳からでも、やっていこう。
流れる水は淀まない
最終章の章題でもある「流れる水は淀まない」。
最後の最後で水青と清澄の名前の由来が語られるシーンが心にグッときます。
「流れる水であってほしい」という父・全の願い。
そこにはどんな願いが込められているのか。
とても真逆な考え方のさつ子と全。
真逆すぎて上手くいかず離婚してしまったけれど、きっとどちらの考え方も愛し方も間違いではないし、2人の生きざまが重なりあって、素直で優しい水青と清澄が育ったんだろうなぁ。
とてもあたたかな、のびやかな気持ちにさせてもらいました。
ブルーにきらめく川の流れの書影にピッタリの爽やかな読後感。
”普通”や”当たり前”の生き方に生きづらさを感じている人や、家族小説を読みたい人におすすめです(*^^*)
人生初の婦人科へ受診してきました
思い返せば10代のころは生理痛ってなかったのですが、20歳を過ぎたあたりから痛みで苦しむようになり、30代になった近年は市販の鎮痛剤を飲んでも痛いときがある。
生理周期も以前と比べてバラバラになり、職場の健康診断の際に諸々お話したら、婦人科を受診してくださいと言われてしまいました。
でも「婦人科って妊婦さんがいっぱいいるのでは」「”子供産んだら楽になる”って言われたらどうしよう」「検査怖い(痛くて苦手)」「(一応調べてみたら)平日夕方は男の先生しかいない」といろんな気持ちが渦巻き、数か月放置していました。
しかし最近生理中、お腹が痛いのに無理して家事をして疲れてしまい、夫に「全然手伝ってくれない。私ばかり」とイライラしてしまうこと(実際は手伝ってくれている部分もあるのに・・・)が続き、いよいよなんとかしないとと思って、婦人科受診に至ったわけです。
いざ受診
電話したらとても親切な感じで、予約もすぐ取れました。
ドキドキしながら当日院内に入ると、思ったよりたくさんのスタッフのお姉さま方が居て、玄関まで出迎えてくださりました。
なんというか、全体的にサロンみたいな雰囲気。
順番が来たら名前ではなく診察券番号で呼ばれるシステムらしい。配慮されている。
電話では「1時間ほど待つこともあります」と言われていたけど、20分ほどで呼んでいただきました。
先生は年配の男の先生。ちょっと早口だけど、なんだかほんわかしている方でした。
簡単な問診をしてから、超音波検査をしてもらいました。
いつも子宮頸がん検診の時に「痛い」「怖い」と思っていたのですが、今回は怖かったけど痛くはなかったです。
先生に「これが卵巣ですよ~」「あ、これが卵です」「こっちが子宮」と言われながら初めて自分の子宮たちを見ました。ちょっと神秘的・・・。
「これが子宮筋腫ですね」『え・・・病気ですか?』「病気っちゃ病気だけど良性。3人に1人はあるんですよ。子宮内膜症じゃないし、子宮の内側にできてるわけじゃないから、妊娠・出産には支障ありませんよ」『へぇ・・・』
子宮筋腫
再び診察室に戻り、いろいろ聞きました。早口だけど聞いたことには丁寧に説明してくれて優しい先生でした。
子宮筋腫は子宮内腔にはできる粘膜下筋腫、子宮の筋膜内にできる筋層内筋腫、子宮の一番外側を覆う漿膜筋腫の3種類に分けられるそうですが、私は筋膜内筋腫と漿膜筋腫の間。生理痛があるのはこれのせい。
今のところ、特に手術とかは必要ないようです。
「一番いいのは、早く妊娠・出産してしまうことですね。早く子宮を使ってしまうこと。子宮筋腫はだんだん大きくなっていくからね」
やっぱり言われた・・・(゚Д゚;)
『あの・・・今のところ妊娠・出産は考えてないんです』
「それならピルを飲むといいですね。今は超低用量ピルっていって、生理を3~4か月に1回にできる。Z世代はみんなこれですよ。旅行や温泉の予定も立てやすくて便利です。月1回のやつもあるけど、今は主流ではないですね」
3~4か月に1回Σ(・ω・ノ)ノ!それってめちゃくちゃ魅力的!!
『もしも今後妊娠・出産を望む時がきたら、飲むのをやめることもできるんですか?』
「もちろんできますよ。ピルで生理が来る頻度が減るから、逆に子宮内膜症の予防にもなる。だから飲まないより飲んでた方が、後々妊娠しやすくなりますよ。子宮筋腫が大きくなるのを抑制する効果はないけど」
リスクについても聞くと、車に乗る時に事故にあうリスクと同じ、つまりほとんどないそうです。副作用もほとんどない人が多いそう。
パンフレットを見せてくれ「まあ、よかったら持って帰って考えてみてください」と言われたので、食い気味に『今日、処方してもらうことはできるんですか?』と聞くと「できますよ」と。
ひとまず1か月試してみることになりました。
処方してもらったのはこちら。
次の生理の翌日から飲むのスタートだそう。
毎日決まった時間に飲まないといけないので忘れないか心配です。
でもこれで毎月の痛みと煩わしさから解放されるのかなと思うと、すごく不思議だけど期待が高まります・・・
先生に最後「これで生活が楽になると思いますからね。エンジョイしましょう」と言われてちょっと泣きそうでした(;_;)
現代女性の苦悩
勇気を出して受診してみて、本当によかったです。
生理って人によって症状が様々なので、全然痛みを感じない人もいるし、起き上がれないくらい辛い人もいる。
でも自分の経験でしかわからないから、この痛みがどの程度なのかって、なんとも説明しづらい。
周りにも相談しにくいし。
もしかして私が過剰に痛がっているだけなのかな?とも思っていました。
ですが子宮筋腫と言われ、「なんだ、そういうことか」と。痛みの原因がわかってすっきりしました。
そして思い出すのは、待ち合い室にいたたくさんの女性たち。若い方が多かったです。
婦人科系で通院されている方ってこんなにたくさんいらっしゃるんだと感じました。
みんな何かしら悩んでいるんだ・・・
調べてみると、月経の回数と婦人科系の病気ってとても深く関係している。
昔は一人の女性が子どもを5人以上出産するとかも当たり前。
それに比べ現代女性は1人あたり1~2人くらいの出産だったり、出産しない人、出産したくてもできない人もいる。
出産回数が減った分だけ月経の回数が増え、月経のある期間が長くなった。
それによって月経困難症や子宮内膜症などの病気も増えてきたそうです。
私たち夫婦はいろいろと話し合った結果、今のところ子どもを望んでいないので、出産を経験しない私は一生の間であと何回生理が来るんだろう・・・と考えるとゾッとします。
先生が言われたみたいに、この超低用量ピルを使って少しでも生活が楽になるといいな。
イライラが減って、夫とも仲良く過ごせるといいな。
そんな日が早く来ればいいなと、なんだかわくわくしています。
『ギフト』原田マハ*たった5ページで心温まるひだまりのような短編集
おはようございます。
今日もまだまだ冷えますね。
こたつでグリーンジャスミンティーを飲みながらぬくぬくして書いています。
今日はこちらの本を紹介します。
『ギフト』
著者:原田 マハ
発行年:2009年7月11日
出版社:株式会社イースト・プレス
全体で84ページの短編集です。
収録されているのは20編の物語。
1つの物語が5ページほどなので、合間に少しずつ読めるのがいいです。
私は仕事のお昼休みに読みました。
どのお話も主人公は女性で、仕事で忙しかったり、恋人と上手くいっていなかったり、浮かない日々の中での“ちょっとした贈り物”が描かれています。
恋人から、親から、友達から、上司から。
何気ない景色の中から。
そして自分から自分へ。
贈り物は様々ですが、届いたことを見届けた時にはひだまりに包まれるような、明日が少し楽しみになるような、ほわんとした温かな気持ちを味わえるような物語ばかりです。
たった5ページでそんな気持ちにさせてくれるってすごいですよね。
ちなみにやわらかな装画と挿画もすごく素敵で、描かれているのは尾柳佳枝さん。
くぼたのぞみ著『山羊と水葬』、乗代雄介著『旅する練習』、山崎ナオコーラ著『リボンの男』などの装画も描かれているそうです。
贈る相手がいることへの感謝
贈り物って、何かの記念日やお祝いに送ることが多いですよね。
学生のころは数人の友達の誕生日を把握していて、お互いにプレゼントを贈り合うことがしばしばありました。
恒例行事みたいなもんでした。
大人になった今もその関係が続いている友達はごくわずか。
というか親友一人だけです(笑)
あとは友達の結婚・出産祝いとか、夫へのプレゼントとか、お土産とか、その程度ですね。
贈り物をする機会って、ぐんと減りました。
だからなのか、贈り物を選ぶとき、その人との関係性について改めて考えます。
ああ、プレゼントを贈る相手がいるってありがたいな。
おばあちゃんになってもこの関係が続くといいな。
と、しみじみ感謝が沸いてきます。
愛おしい愛猫
私にとっての印象的な贈り物って何だろうと考えると、真っ先に浮かんだのは愛猫の存在です。
結婚した年にお迎えして、夫婦で溺愛している、3歳のペルシャ猫。男の子です。
この子との出会いは、勝手に運命的なものを感じています。
最初から迎え入れるつもりではなかったのですが、いろいろあって、結果的にわが家へやってきてくれました。
子のない夫婦にとって、本当の息子のような存在です。
この子がいることで、救われる思いになることが本当にたくさんある。
いない生活はもう考えられません。
まだ3歳なのに「○○くんがいなくなったらどうしたらいいの・・・」と夫婦で真剣に心配したりしています。
愛おしくてたまらない。
決して”物”ではないけど、私たちへの”おくりもの”だなと感じます。
そんな、自分にとっての『ギフト』についてもしみじみ思いを馳せることができる。
温かな気持ちに包まれたいときに、ぜひおすすめです(*^^*)